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一風変わった景観ばかり。鳥取の史跡を巡る
堂々の国宝、三仏寺
『三仏寺(さんぶつじ)』は東伯郡(とうはくぐん)三朝(みささ)町、三徳山(みとくさん)にある仏教の寺院です。国の史跡と国の名勝に指定されていますが、何よりもこういった史跡が国から与えられる栄誉の中で最も高位と言って良いであろう『国宝』に選定されており、その理由は実物を目の当たりにすることで納得できるでしょう。特に「投入堂(なげいれどう)」の名で知られる建物の世にも珍しい景観は息をのむに違いありません。
三仏寺は仏教の中でも天台宗(てんだいしゅう)の寺院です。大乗仏教の一派である天台宗は現代的な生活にも比較的馴染みやすく、またある程度広い範囲の仏教思想を包括的に扱っており、現代日本における仏教のうち、主要な派閥の一角と言えます。三仏寺はおよそ8世紀ごろに修行地として開かれた寺院で、その名のとおり三仏――すなわち、阿弥陀如来、釈迦如来、大日如来を擁しています。三仏寺の風習は天台宗の中でも修行の地としての性質が強く、観光地となる寺院の中でも硬派な部類に入ります。三仏寺は多くの建物を有していますが、切り立った断崖の側面に築かれた国宝「投入堂」――正式名称「奥の院」にたどり着くためには険しい登山道を征く必要があります。この登山道は入場できる時間が8時から15時と決められており、雪深くなる冬季には立ち入りができません。また、立ち入りの際には厳しい服装チェックが行われ、登山に向いていない装備では許可が下りません。特に靴に気をつける必要があるでしょう。ところどころ岩をよじ登るなどの必要もある険しい悪路です。過去にはけが人も多く出ており、軽い気持ちで入山できる観光地とは言えないかもしれません。あくまでもここが修業の地、修行者の通る参道なのだということを思い知らされるでしょう。
広い空。ピクニックに最適な鳥取城跡地
「城めぐり」を趣味に持つ人にとって、この「鳥取城跡地」はどのように映るのでしょうか。ここには天守もなければ目立つ建造物も残存していません。しかしその代わりといっては何ですが、立派な石垣で築かれた天守台からの見事な景色が保障されています。緑の多いのどかな景観を有する鳥取城跡地には、訪れる人の心を穏やかに鎮めてくれる効果があるように思われます。暖かい、晴れた日に訪れるのをおすすめします。かつての栄光を彷彿とさせる見事な石垣に青々とした植物がはびこっているのを見ると、栄枯盛衰の理を目の当たりにするようで、もの悲しいような、日々のわずらいが小事に思え、どこか安心するような、何とも言えない感傷を呼び寄せます。勇壮できらびやかな天守や城門その他の史跡に恵まれ、観光地として絶えず美しく整備された城ももちろん訪れ甲斐があるものですが、こういった気取らない城跡もまた、味わい深いものがあります。
鳥取城は1555年、織田信長の生きた戦国の世に築城され、その後300年この地にそびえて立っていました。1873年に明治政府より発令された廃城令により取り壊されましたが、城門など一部の構造は復元され、今でもその姿を見ることができます。
敷地の一部は「久松公園(きゅうしょうこうえん)」として整備され、日本さくら名所100選に選定されています。その公園内にある「仁風閣(じんぷうかく)」はルネッサンス様式の見事な西洋館で、広く美しい庭園を有する国の重要文化財です。緑の芝生に映える白い壁が、かつて西洋文化を積極的に取り入れた明治の時代を思い起こさせます。
宿場町として栄えた智頭宿の今に残る名風景
「智頭宿(ちずしゅく)」は智頭町にある有名な名所です。古くから残る日本家屋がずらりと軒を連ねる一本道が特徴的で、観光シーズンには国内外から多くの人が訪れます。かつて江戸時代に宿場町として栄えたこの一帯は智頭往来と備前街道の合流地点であり、もっと古い奈良時代以前から、日本の交通の要所であったと考えられます。『遊歩道百選』と『歴史の道百選』に指定され、家屋のほかにも当時のままの社寺などが保存される、今となっては貴重な風景を残す一帯です。
智頭宿のみどころは風情かおる昔ながらの日本家屋だけではありません。江戸時代が終わり、明治の世へと移り変わっても地の交通上の重要性は変わりませんでした。明治時代に数多く建てられた白い壁を特徴とする西洋風の建物が日本家屋の景観に絶妙に馴染んでおり、和洋折衷の趣を呈しています。智頭宿に現存するそれ他の建造物の多くは有形文化財に指定されていますが、今でも公民館や消防署の駐屯所、酒蔵として通常利用されており、その気取ることのない人々のありのままの生活が当時と変わらず営まれています。そういったところからくる気配が、遊歩道としての智頭宿の懐かしく暖かい雰囲気を作っているのかもしれません。
国指定重要文化財にも指定され、智頭宿の名所として知られる「石谷家」は、観光の際には是非訪れてみてください。江戸時代に庄屋として栄えた個人宅ですが、大豪邸であり、実に3,000坪の敷地と立派な日本庭園を有しています。
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