大自然に浸かる。富山の秘境温泉地（富山県） | 風俗のお仕事コラム

富山県北東部にある「黒部峡谷（くろべきょうこく）」は『日本の秘境百選』に選ばれている黒部川上流地域に広がる非常に大規模な峡谷であり、『日本三大渓谷』にも指定されています。また『国の特別天然記念物』と『特別名勝』にも選定される、様々な観点から稀有で貴重な地形であるといえます。そしてその秘境「黒部峡谷」を走るトロッコ電車「黒部峡谷鉄道」の終着駅「欅平駅（けやきだいらえき）」からさらに徒歩で40分ほど歩いた場所にあるのが「祖母谷温泉（ばばだにおんせん）」です。

秘境も秘境、本当に美しい自然の中に分け入って冒険の末たどり着くような温泉観光がしたい方におすすめするこの「祖母谷温泉」は、河原に静かにたたずむ名湯です。入浴施設としての祖母谷温泉は山奥ながらしっかりと整備され、休憩や宿泊、食事も可能です。ただしここは温泉宿ではなく山小屋であるため、相部屋であることなどを理解して利用する必要があります。入浴料金は大人が500円、子供が300円となっています。泉質は単純硫黄泉で、うちみや切り傷に効果があるとされるほか、飲用することも可能で、その場合は胃腸の働きを活性化させる効能があります。上流の河原からは高温の温泉が噴出しており、自分で岩を組み上げ浴槽を作ることで河原に手製の露天風呂を作り、入浴することができます。ただし湧き出る温泉は高温であり、川に流れている水との調整をうまく行わなければやけどをしてしまいますので注意してください。

「祖母谷温泉（ばばだにおんせん）」に代表されるこの地の温泉観光にあたってその見どころといえば、目当ての温泉と同等かそれ以上に、特別名勝に指定されるほどの黒部峡谷の美しい大自然の絶景が挙げられます。温泉までたどり着くために利用する「黒部峡谷鉄道」の世にも珍しい「トロッコ電車」を筆頭に、駅からの徒歩の道中も歩道がきれいに整備されていて歩きやすいため険しく足場の悪い山道という印象は全く受けず、楽しく景色を愛でることができます。

道中の主要な見どころである「黒部峡谷鉄道」の「トロッコ電車」について、詳しくご紹介したいと思います。もとをただせばこの鉄道は旅客用のものではなく、日本電力が黒部川流域の電源開発のために敷設した資材運搬用の貨物車両でした。それゆえ日本国内では希少な76センチという1メートルに満たない軌間（線路の幅）が特徴で、車両もそれに伴って小型となっています。鉄道ファンにとってはもちろんのこと、この日本でも珍しい「トロッコ電車」は往年を偲ばせる実用性重視の無骨な外観を有し、その小型でどこか愛らしい、力持ちの小人のような風格はきっと魅力的に映ることでしょう。

この「黒部峡谷鉄道」の魅力に取りつかれてしまった人々に向けた粋なキャンペーンが存在します。黒部峡谷鉄道――通称「黒鉄（くろてつ）」の終点は通常「欅平駅（けやきだいらえき）」ですが、かつて開発目的で利用されていた路線はその先にも続いています。欅平駅をしばらく行った先で車両はおよそ200mという高低差を有するエレベーターによって上部軌道まで運ばれ、黒部川第四発電所に到達することができます。「黒部ルート見学会」に応募して当選することで、欅平駅の先のルートを体験することができます。

「祖母谷温泉（ばばだにおんせん）」はこの「名剣温泉（めいけんおんせん）」のさらに上流地域に位置する温泉ですが、その入浴施設は宿ではなく山小屋です。その点、黒部峡谷でゆったりと温泉宿を楽しみたいという方にとっては第一の候補に挙がるであろう「名剣温泉」をおすすめします。名剣温泉のその源泉は祖母谷温泉と同じものであり、上流の祖母谷温泉から引かれた湯がこの宿にも湧いています。単純硫黄泉であり、神経痛やリウマチに効能があるとされます。源泉温度は98℃と高温であるため、これを冷まして入浴可能な温度にしています。岩で組まれた露天風呂が人気で、入浴だけならば料金は大人が750円、子供が500円です。黒部峡谷鉄道本線の終点欅平駅（けやきだいらえき）から徒歩15分の位置にあり、道中の山道は整備されており困難な道のりではありません。冬場には営業しておらず、6月から営業が開始されます。

名剣温泉の魅力はやはり露天風呂に浸かりながら眺める黒部峡谷の名風景です。露天風呂そのものの造りも趣があり、岩で無作為風に組まれた浴槽と床、加えてすだれ風の木材で編まれた衝立が景観を損なわない配置で周囲を巡り、峡谷の自然に溶け込んでいます。お部屋も純和風にこだわった清楚な形態で、障子を開けると壁一面に達するほど大きな窓から外の風景を一望できます。秋に差し掛かるころの黒部峡谷は特に美しく色鮮やかで好評を博しています。夏場の香り立つような緑もまた魅力的ですので、好みによって訪れる季節を選んでいきたいですね。