世界遺産認定！鹿児島「仙巌園」！（鹿児島県） | 風俗のお仕事コラム

「仙巌園（せんがんえん）」、別名「磯庭園（いそていえん）」は、鹿児島市吉野町にある。薩摩藩主島津氏によって築かれた別邸とその庭園のことで、今現在は一般公開され、1000円の入場料を支払うことで誰でも立ち入ることができる。仙巌園の魅力は何といってもその場所からの眺望にあります。もちろん、仙巌園自体の家屋並びに庭園の風情豊かな佇まいも素晴らしく、それゆえにこのたび世界遺産への登録も決定しました。しかしながら、この仙巌園がかつて幕末より人々に愛されてきた主たる理由は、その場所から望む桜島や錦江湾の得がたい絶景にあったようです。

仙巌園は1658年に島津氏の19代目、島津光久（しまづ　みつひさ）によって建設されました。以来島津氏の人々に愛され続け、特に28代島津斉彬（しまづ　なりあきら）は、その美しい庭と桜島の眺望に格別の愛情を注いだと伝えられています。鹿児島――薩摩は古くから南の玄関口として栄え、それは地理的な性質上、今も変わることはありません。そのため中国の文化の影響が色濃く、一風変わった意匠が数多くみられるのも仙巌園の魅力の一つです。

仙巌園は桜島を最も美しく眺めることのできる景勝地として語られることが多いのですが、前述のとおり、仙巌園に植えられた数々の植物もまた魅力の一つで、注意深く見て回ると、実に多様な種類の草花が混在していることがわかります。それというのも、鹿児島の気候帯は変わっていて、温帯と亜熱帯の中間に位置しており、それによって両方の環境で生育する植物が同時に存在できるのです。日本は沖縄を除けば基本温帯の気候帯に属すため、観光客にとって仙巌園は、少なくとも二つ以上の意味で珍しい景色を堪能できる場所といえます。一つは有名な桜島の眺望、そしてもう一つは、まるで植物園にでも迷い込んだかのような多種多様な植物が咲き誇る美しい庭園です。

仙巌園の辿ってきた歴史を見ていくうえで、28代島津斉彬の存在は欠かすことができません。彼は幕末の時代、この敷地を使ってヨーロッパ式のガラス工場を造るなどして、日本の近代化に大きく貢献しました。本来は景色を楽しむ別邸として築かれた仙巌園ですが、斉彬の精力的な活動拠点としても力を振るっていたのです。照明にガス管を繋いで点灯させるなどの試みも、日本で初めて行われたのはここ仙巌園ではないかと言われています。そうした文明開化の火種の一つでもあった仙巌園には、数々の歴史的背景を背負う重要な文化財が散りばめられています。

仙巌園の入り口を入ってすぐのところに、奇妙な岩が立っているのが目につきます。これは「千葉蓮の碑（せんようれんのひ）」と呼ばれる一風変わった謂れのある岩で、どうやらとある香り高い蓮についての説明が刻まれた石碑だということです。「千葉蓮」とは朝鮮産の蓮で、文禄の役に参戦した武将が帰国の際持ち帰ったものを仙巌園の池に植えたと伝えられています。その蓮は碑文によれば紅色の花を咲かせ、香りは何百歩も離れたところまで届いたといいます。

仙巌園には製鉄炉の跡なども残されており、近代化に向けて走り出そうとしていた往時の薩摩の様子が偲ばれます。島津藩のそのような取り組みに関わる多くの資料などが展示されている資料館もあり、歴史ファンにはうれしい配慮が多く成されています。

かつて藩主の別邸として築かれた仙巌園ですが、その規模は別邸と呼ぶには躊躇するほどで、５ヘクタールの敷地をくまなく歩いてそのすべてを堪能しようとなると、それなりの体力も必要になってきます。そこで、訪れる前に押さえておきたいポイントをいくつか紹介してみたいと思います。

仙巌園に入ってすぐのところに突然現れるインパクトある展示物、それが「150ポンド砲」。――つまり巨大な大砲です。大名の庭園であるにもかかわらず意欲的に日本の近代化を支え、造船や戦争を見据えた武器製作にも取り組んできた仙巌園の性質を端的に表す遺物と言えます。

しばらく歩くと立派な正門が見えてきますので、ほんの少しだけ足を止めて見上げてみてください。ここは大河ドラマ『篤姫』にもよく出てきたロケ地で、門の上部には島津家の家紋が掘られています。

正門から5分強歩くと見えてくるのが「御殿」と呼ばれる藩主が実際に生活していた屋敷で、オプションのガイドツアーをつけることでより詳しく当時の藩主の生活ぶりなどを知ることができます。

「水道橋」は時間の許す限り眺めていたくなるほど味わい深い趣を湛えています。大きな橋ではありませんが、その名の通り欄干に水道管が埋め込まれていたらしく、あまりお目にかかることのできない形の橋です。かつての橋は流されてしまい、今は復元されたものとなっていますが、周辺の豊かな自然と川の流れが見事な情景を演出しています。